事件概要
ジャパンライフ株式会社(東京)は、磁気治療器などの高額商品を顧客に販売したうえで、その商品を会社が借り受けて他の顧客に貸し出し、年6%程度のレンタル料を還元するという『預託商法』を展開していた。商品は実際にはほとんど流通しておらず、新たな顧客からの預託金が古い顧客への配当に回される、自転車操業の構図だったとされる。
2017年12月、ジャパンライフは経営破綻。被害者は約7,000人にのぼり、被害総額はおよそ2,100億円規模ともいわれる。被害者の多くは高齢者であった。
創業者のT.Y被告(当時87歳)らが、被害者をだまして金を引き出した詐欺の罪に問われ、2020年9月、被告は逮捕・起訴された。会社が政界・財界と接点を持っていたことも報じられ、社会的にも大きな関心を集めた事件である。
判決
・判決日:2023年3月16日
・裁判所:東京地方裁判所
・判決:懲役8年(求刑:懲役10年)
・罪名:詐欺罪
判決理由では、創業者として組織的犯罪を主導した責任の重さ、高齢者を中心とする多数の被害者に深刻な経済的被害を与えた点が厳しく指摘されたとされる。会社の幹部数名も同様に起訴され、有罪判決を受けたとされる。
被害者の声
被害者は約7,000人。退職金や老後資金を失った高齢者が多く、生活基盤を根こそぎ奪われた事例も多数報告されている。被害者団体『ジャパンライフ被害者対策弁護団』が結成され、民事訴訟を通じた被害回復活動が続けられている。
量刑の相場
詐欺罪(刑法第246条)の法定刑は『10年以下の懲役』。組織的犯罪処罰法を適用した加重があれば、それを超える刑も可能。
量刑判断の要素は、被害額、被害者数、組織性、計画性、被害弁償の有無、被告の関与度合いなどとされる。
被害額数百億円以上の大規模組織詐欺では、主犯に対し懲役8年から13年の判決が多い傾向。本件は被害額が2,000億円規模と極めて大きいものの、被告の高齢、被害弁償への姿勢(部分的)などが情状として考慮されたと報じられている。
同種事件の判決
2014年の安愚楽牧場事件では、被害総額4,200億円規模で代表者に懲役14年の判決(東京地裁)。
2024年の頂き女子Rちゃん詐欺事件では、被害総額1.5億円規模で懲役9年(名古屋地裁)。
諸外国の事例
・アメリカ:連邦詐欺罪(wire fraud, mail fraud)は最大20年の禁錮。被害額数十億ドル規模のポンジ・スキーム事件では、終身刑近い懲役が言い渡される例もある(マドフ事件:懲役150年)。
・イギリス:Fraud Act 2006、最高刑10年の禁錮。組織的・大規模詐欺は加重事由として扱われる。
・ドイツ:刑法第263条『詐欺罪』、最高10年の自由刑。組織的詐欺(第263a条等)で加重。
・フランス:刑法第313-1条、5年以下の禁錮、加重事由付きで10年。
(引用元:各国法務省ウェブサイト等を参照)
日本の詐欺罪の最高刑(懲役10年)は、欧州諸国とほぼ同水準。米国基準では『軽い』とされる。被害規模が極めて大きい事件では、複数罪の併合や組織犯罪処罰法による加重が論点となる。
併科措置に関する論点
大規模組織詐欺事件では、(1)犯罪収益の没収・追徴(被害回復の財源確保)、(2)被害者への給付制度の拡充、(3)経営者の責任追及(民事・刑事)、(4)再犯防止策(同種事業への関与禁止)、(5)行政の早期警告体制などが議論される。
参考リンク
・NHK NEWS WEB『ジャパンライフ事件 元会長らに懲役8年判決』(2023年3月、要URL確認)
・朝日新聞デジタル ジャパンライフ事件 一連の報道(2017〜2023年)
・毎日新聞 ジャパンライフ事件関連報道
・読売新聞 ジャパンライフ事件報道
・東京新聞 ジャパンライフ事件報道
・消費者庁『ジャパンライフ株式会社に係る行政処分』
・国民生活センター 関連注意喚起資料
法改正動向
ジャパンライフ事件などを契機に、2021年6月、改正預託法(預託等取引に関する法律)が成立。販売預託商法の原則禁止、違反した場合の刑事罰の引き上げなど、消費者保護を大幅に強化する内容となった(2022年6月施行)。
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